馬革同様に傷痕が残りやすい性質の皮革ですが、FREEWHEELERSでは"ビンテージ同様"の表情、経年変化、オーラを再現するため、生前についた傷痕や肌の荒れ、シボ、シワ、肌の色ムラ(痣痕など)や厚薄などもそのまま味として活かしています。
写真を撮る際に軽くライトを当てて撮っているため光沢感が強く写っていますが、新品ではマット("艶消し")な表情/質感を強く感じます。
着用を重ねることにより、手垢や肌の皮脂などの積み重ねで次第に光沢が出て、色も変化していきます。
動物が持つシワやシボは指紋と同じで二つとして同じものがありませんので、パーツごとに違う表情が見られるのもFREEWHEELERSのレザーアイテムの魅力です。
着る人それぞれの癖や着用頻度によって味の出方にも個性が表れます。
左の胸ポケットにはボールジップが配されています。
1930年代頃に見られたパーツで、コンセプトとなる時代を表すアイコンです。

ボールジップは非常に繊細で脆い構造のため、輪に指を通して引っ張るとすぐに切れてしまいますので、チェーンのできるだけ根元部分で2本のチェーンをつまむようにして持ち、力をかけ過ぎない様にスライドさせて下さい。
実用性よりも見た目の美しさを重視したパーツで、まだまだ腕時計も一般的ではなかったような時間がゆっくりと流れていた時代(ジッパーが世の中に登場してまだ間もない頃=現代のジッパーの先祖ともいえる大昔の仕様をそのまま再現しています)に、装飾美を楽しむためにつけられていた"お洒落パーツ"とお考え頂ければご理解いただけるのではないでしょうか。
(*決して開閉できないわけではありませんが、改良や進化を繰り返して出来上がった現代の質実剛健なジッパーとは性質/使用目的が異なるため、「特殊なパーツ」であることを踏まえたうえで優しく取り扱ってあげて下さい。)
襟元までジッパーを閉めると胸部分が大きく重なる"ダブルブレスト"仕様です。
「ライダースジャケット(モーターサイクルジャケット)」のデザインや、ライダースジャケットという言葉が一般的になった現代においては「ダブル」と言えば「ライダース!」という連想をされる方が一般的かもしれませんが、「革製のスポーツジャケット」という考え方がごく自然だった時代にはシングルブレストよりも遮風性の高い仕様としてバイクに乗ること以外にも様々なシーンに用いられたデザインでした。(むしろここから発展してやがてライダースジャケットにデザインが流用されるようになったと考える方が自然です。バイクに乗るということがまだ限られた人達のスポーツで非日常的だった時代ですからね。当時としてはモーターサイクルジャケットとしてスポーツジャケットを着る(モーターサイクルジャケットもスポーツジャケットの一種)という感覚であったと想像できます。)
右側前面は両玉縁仕様のハンドウォーマータイプのスラッシュポケットが一つです。

左側全面には胸にボールジップ開閉式の胸ポケットと、両玉縁仕様のスラッシュポケットがあります。
胸ポケットからスラッシポケットを囲むように、あたかもDポケットが縫いとめられているかのようなステッチが施されています。
実際には何も縫いとめられておらず、空間を利用した当時の粋な"洒落っ気"の一つだったことが想像されます。(これも1930年代当時の元ネタに実際に見られた仕様です。)
襟を広げると、当時のスーツのジャケットに見られるピークドラペルのようにも見えます。
(やはり背面のプリーツ同様にテーラードジャケットのデザインを意識していたということでしょうか。)
ディアスキンならではの豊かな表情がたまりません!
動物の肌の一部であったことが容易に想像できます。
袖口はボタン留め。2個のボタンが糸留めされています。
ボタンは外すことができます。
袖口には内リブはありません。
袖口、カフスの手前までフランネルが張られています。
(スベリの良い化繊の裏地が登場するはるか前の時代をコンセプトとしたジャケットです!)
1930年代のジャケットであることを強烈にアピールする背中のプリーツ。
装飾の意味もありますが、大きな面積をパーツで区切ることもでき、またアクションプリーツなどを盛り込んだ複雑なパターンで立体感を出すことも考慮されています。
(同じ時代のテーラードスーツ/ジャケットにも同様の仕様の物が多々見られます。)

左右の脇の下には3つの通気孔があります。
腰部分の左右にはアジャストベルトがあります。
二連のDリングで無段階に調節が可能です。1930年代当時のジャケットにはこの仕様が非常に多く見られます。

総裏地です。
肉厚ながら非常にソフトで、ベルベットのようにきめ細かくしなやかな高級感溢れるフランネルが前面に張られています。
内ポケットはありません。
袖裏にも同じ素材が使われています。
フロントのジッパーのラインは決してまっすぐではありません。
非常に繊細なカーブを描いているのがお分かり頂けると思います。
(まっすぐではない分、ジッパーの上げ下げ時には負担がかかりやすくなっていますので優しく取り扱ってあげてください。時折"蝋"を塗るなどして労わってあげるのも"優しさ"のうちです。)
脇~袖裏にもボディ裏と同じフランネルが張られています。
非常にキメが細かい、ベルベット/ベルベッティーンのような光沢感のあるフランネルは見た目以上に肉厚で保温力があります。
フランネルの裏地はここまで張られています。
ディアスキンのソフトな着用感を妨げることなく、時代考証からもはみ出すことなく、全てにおいてベストにマッチしたライニングだと感じました。(個人的にこのフランネルの肌触りが大好きなのでこの裏地はとても嬉しい仕様です。)